仕事をするときに必要な考え方

介護を学んでいくとき、生涯発達という言葉が出てきます。これは人間は生涯にわたって発達をし続けるという考え方です。しかし、介護現場は寝たきりで発達ができない人や認知症が進行して自分の意思を思うように伝えられない人がいるため、果たしてそれでも生涯発達といえるのか、疑問に感じてしまう人も多いでしょう。

寝たきりや重度の認知症などによって、できる・できない、わかる・わからないなどの能力面だけにフォーカスして仕事をすると、その人の生涯発達は見出しにくいものです。しかし、物事はすべてそうであるように、人も多面的な存在です。そのことから生涯発達という言葉をとらえていくと、身体面だけでとらえるのでなく、精神、社会面にフォーカスをあてることができます。

この考え方ができる介護職員は、利用者の言動すべてが、自分らしくありたいという前向きな意欲によるものだととらえることが可能です。この段階までいけば、すべての人は、常に自分らしく生きようとしていて、自己実現を図ろうとしている存在であることを理解できるようになります。

認知症の人が、家に帰りたいと言うのを、居心地のいい場所に行きたいと受け取ることができれば、これも生涯発達につながります。介護職員の考え方、とらえ方1つで利用者の生活に大きな影響を与えることを自覚することが大切です。利用者の生活の質は、利用者の能力ではなく、介護職員の考え方によって左右されるものでもあることを認識し仕事に取り組む必要があるでしょう。